住まいと健康

Health

高断熱住宅の性能を十分に活かす住まい方の秘訣に迫る➀ 国交省協力のガイドが示す4つの視点から~「日ざし」編~

日ごとに寒さが増してくると、室内の温熱環境が気になります。

日本でも住まいの断熱性能への関心が高まり、国や自治体はカーボンニュートラル実現を目指す観点からも、省エネ性能に優れた高い断熱性能の住宅の普及に向けた支援策を打ち出しています。

断熱性能の高い新築住宅や、既存住宅の断熱性能を高めるリフォームは年々増えていますが、その性能を十分に活かし、健康で快適な暮らしを実現するために上手な住まい方が欠かせません。

そこで2024年3月、国土交通省が編集協力した省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅を住みこなす住まい方ガイド」(発行:一般社団法人 環境共生住宅推進協議会、以下「住まい方ガイド」)が公表されました。

「住まい方ガイド」では、断熱等性能等級6以上の住宅(※)を対象に、「これからの住宅のスタンダードとなる断熱性能の高い住宅を効果的に住みこなす工夫」として4つの視点を紹介しています。

◇「住まい方ガイド」が示す4つの視点

視点1:季節に応じた日射しのコントロールが大切
視点2:暖冷房機器を適切に運転、少ない暖冷房エネルギーで快適に
視点3:空間をつなげて気持ち良い空気を家中に
視点4:災害時でも日常生活を維持するために高性能な機能をもしもの備えに

今回は視点1「季節に応じた日射しのコントロール」について見ていきましょう。

※断熱等性能等級6以上の住宅とは・・・
2025年春に義務化される等級4、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー住宅)水準である等級5よりも、さらに高い断熱等級です。カーボンニュートラルの実現に向け、等級5~7は2022年に新設されました。

寒い冬は日ざしを採り入れて室内を暖かく

冬の晴れた日はカーテンを全開にして日ざしを取り入れると効果的。

断熱性能が高い住宅の特長は、室内の熱を逃がさず、外気温の影響をほとんど受けないこと。この特長を活かし、寒い冬でも日ざしを採り入れて家中を暖かく保つことができます。

「住まい方ガイド」は、日ざしを有効に採り入れる工夫として、以下の方法を挙げています。

・「日中はカーテンを全開して日射しをしっかり採り入れ、その熱を利用して家中を暖める」 
 ※暖かくなり過ぎた場合は、カーテンを閉めたり窓を開けたりして室温を調整
・「日が落ちた後は、断熱性の高い厚手のカーテンや雨戸などを閉める」
・「家族の団らんや調理、夕食など人が集まることによる『内部発熱』により、暖かさを保つ効果がある」
・「上部を下げられる『トップダウンブラインド』の取り付けで、視線を遮りながら日射しを採り入れることも可能に」

日ざしを十分に活用できれば、暖房エネルギーの低減につながります。

『余得熱』とも言われますが、熱は家の中の家電や照明、人からも発生しています。

暑い夏も日ざしのコントロールで快適に

夏は日ざしを遮るシェードを。

冬とは逆に、夏は強い日ざしをいかに遮るかがポイントです。

「住まい方ガイド」は、カーテンなど窓の内側で日ざしを遮る場合、全日射熱の約60%が室内に入ってしまうのに対し、ブラインドやすだれ、よしずなど窓の外側で日ざしを遮ると、室内に入る日射熱を全日射熱の約20%に減らすことができる――というデータを示し、窓の外側で日ざしを遮る効果の大きさを指摘しています。

室内に熱をこもらせないようにすることで、冷房エネルギーの低減が図れます。

春秋も室温に合わせて日ざしの調整を

春や秋も、室温の状況に合わせて日ざしを調整することで快適に過ごすことができます。

「住まい方ガイド」は特に以下のように注意を促しています。

・「徐々に暑くなる5月ごろや残暑が続く9月いっぱいは、必要に応じてしっかりと日射しを遮る」

・「寒さが残る3月から4月や徐々に寒くなる10月以降は、日射しを採り入れる」

熱を上手くコントロールする、三熱(断熱・蓄熱・遮熱)という考え方

北洲ハウジングでは、断熱・蓄熱・遮熱の「三熱」の要素を設計に取り入れています。

断熱は国内最高水準のレベルまで引き上げたうえで、夏は深い軒や外付けブラインド、遮熱網戸といった建材で、遮熱対策を施します。逆に、冬は日ざしを室内に取り込んで室温の低下を防ぎ、室内に熱を蓄えるような建材を取り入れています(蓄熱)。

日射エネルギーを有効活用し、年間を通じて快適さを保持する「パッシブ設計」が、健康で快適な住環境づくりに重要な役割を果たしています。