もうすぐ本格的な夏がやってくる。
気温が高いだけではなく湿度も高いこの時期は、熱中症への注意が特に必要だ。
そのリスクを正しく知り、今のうちから対策意識を高めておきたい。
熱中症の多くは「室内」で起きている
ここ数年、熱中症に関するニュースを頻繁に目にすることがある。
例年、熱中症は梅雨明けの時期に救急搬送のピークを迎え、死亡者数も増えやすいという。
梅雨明け後は急激に気温が上昇し、体が適応しにくい状態になることがその要因と言われている。
注目したいのは、熱中症は意外なことに炎天下の屋外ではなく、「住居など室内で起きる場合が大半を占めている」という点である。
そして、年齢層別に見ると半数近くが「高齢者」なのである。
このように、『高温多湿の室内が、特に高齢者にとっては大きなリスクを伴う環境である』ということをまずは知ることが大切だ。
決して、“ 日射を直接浴びる” 外での活動だけにリスクがあるわけではない。
基本的なことだが、まずはこうした事実をしっかりと認識することが重要だ。
※災害レベルとも言われる熱中症リスクに関しては以前の記事で詳しく取り上げている
→「夏の室内。その暑さはもはや災害レベル!?」(2019.07.30)
就寝中の室内環境にも十分に注意を!!
熱中症のリスクを軽減するためには、まず第一に、室内温度を28℃未満におさえ、湿度も50%前後になるように配慮することが重要。
そのためには「エアコン」を賢く使うことが一番の近道だろう。
高齢者の中には「エアコンが苦手」という人も実際に多いようで、そうした人が断熱性能の低い家に長時間在宅していることで、さらに熱中症のリスクが高まるとも言われている。
また、マンションに住む高齢者の場合は特に、「夜間熱中症」に対する注意が必要だ。
木造住宅と異なり、鉄筋コンクリートマンションの場合は昼間に屋根や外壁が熱を溜め込み、その熱が夜間にゆっくりと室内に伝わってくるため、朝まで室温が下がりにくい。
場合によっては、夜が更けてもどんどんと室温が上がり続けることもあるのだ。
このような事実はなかなか多くの人には知られていないのではないだろうか?
就寝前にエアコンをオフにするとか、寝入りまでの1~2時間だけタイマーをセットするというような、なんとなくの習慣を持っている人は注意が必要だ。
「夜は涼しくなってくるから大丈夫」という誰もが陥りそうな思い込みが、高齢者の熱中症リスクを高めているという事実を知っておきたい。
※こちらも以前の記事で詳しく取り上げている
→「共同住宅・集合住宅で高まる暑熱災害のリスク」(2019.08.30)
暑い夏には、就寝時も28℃の温度設定でエアコンを連続運転させておくことが推奨されている。
研究結果に裏打ちされたこのような知見は、積極的に普段の生活に取り入れていきたい。
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換気も熱中症対策には効果的だ。
室内に風を通してやることで、床・壁・天井の表面温度を効果的に下げられるだけでなく、暑さとともに高くなりがちな湿度を逃してあげることもできる。
熱中症のリスクを正しく認識するとともに、できる対策を無理なく行うことで、健康的に暑い夏を乗り切っていきたいものだ。
※参考データ出典 / 週刊文春ムック『温かい家は寿命を延ばす』(株式会社文芸春秋 令和元年10月17日発行)