今回は、実際に断熱リノベーションをされた住まい手の方へ、その経緯や想い、さらには住んでみての感想を聞いた。
これからの時代の住宅取得のカタチ「中古住宅購入+リノベーション」
仙台市内。自然に囲まれた、閑静な住宅街に立つM様邸。シューズクローゼットを擁する玄関、キッチン&ダイニングとひと続きになったリビングなど、広く大きな空間で構成されたゆったりと穏やかな住まいは、築26年の一軒家を2年前にリノベーションして完成。春夏秋冬を2回めぐり、冬のあたたかさ、夏の涼しさを大いに実感されているM様に、その選択の経緯や感想をお伺いした。
医療留学をされていたアメリカでの生活体験がその後の住まい方にも影響を。
「結婚してマンションを購入していたものの、夫婦ともに一軒家で育った私たちにとって、将来的にはやはり一軒家で暮らしたいという思いがありました。」というM様。
日本に戻ってきて、どこに住むのかを考えた時、「新築も含め、あらゆる可能性を検討した結果、中古住宅購入+フルリノベーション」を選択。
「アメリカでは、リフォームを題材にした様々なTV番組がありました。リフォームすることでどう付加価値を与えていくのか、そのアイデアが次々に出てくるのを見るのが好きでした。」
リフォーム・リノベーションを身近に感じられた、そんなアメリカでの生活体験が、M様が「中古住宅購入+リノベーション」という選択肢を自然に検討することになった理由の一つなのだろう。
中古住宅を購入。そして、リノベーションへ。
「家を新築するとなると、どうしても郊外に土地を求めざるを得ない場合が多いと思います。
しかし、老後を見据えたとき、やはり公共交通機関の利便性が高い場所に住んでいたい。
そう考えた結果、住みたい街で “中古住宅を購入する” という手段を選んだんです。」
M様は、また別の視点でも「中古住宅のリノベーション」の価値を捉えていた。
「かつての “新興住宅地” の多くは建替えの時期を迎えています。そうした古い街並みを活性化するためにもリノベーションという文化が日本にもっと根づいて欲しい、という思いもありました。」
具体的にリノベーション工事を進めていく過程も、M様はとても楽しかったという。
「新築と違ってリフォームはいろいろな制約が多いので、思うような住まいにはできないと考えがちですよね。ですが、自分たちのライフスタイルをしっかりと見つめ直すことで、リフォームならではの様々な障壁をブレイクスルーできた感がありました。これはできないかな?と思うようなことがあっても、担当者とアイデアを出し合いながら、“我が家”につくり変えていく過程が、むしろとても楽しかったですね。家族の住まい方を改めて見つめ直すきっかけにもなりました。」
家族がゆったりとくつろげる「ホーム」に
家族団らんのメインとなるリビングは、天然木の床や天井、漆喰の壁と自然素材をふんだんに使ったナチュラルな雰囲気。
そこに黒のインテリアが調和し、クールでモダンな印象を生み出している。
子供部屋には小窓を付け、書斎はブックシェルフとオープンカウンターで構成するなど、プライバシーを保ちながらも遊び心が随所に感じられる住まいだ。
「以前は忙しいこともあって“家は寝るために帰るだけの場所”という感覚がありましたが、家族の時間を大切にするアメリカの風土に触れたことで、“家族の温かい団らんの場所でありたい”と考えるようになりました。家に対する考え方がハウスから“ホーム”へと変わったんです。」
開放的な間取りを実現できるのも、高気密・高断熱があってこそ。リフォームでは、床下、壁、天井をすべて断熱改修し、暖かい家を実現している。
さまざまな発症リスクを防ぐ高気密・高断熱住宅
「寒い家には、血圧の急激な変化に伴う脳疾患や心疾患、さらには肺疾患へと繋がる危険性がひそんでいます。また、本来であれば安らぎと寛ぎの場でなくてはならない家が寒いと、ストレス解消を妨げ、精神疾患の発症リスクまで高まってしまうことも、最近の研究では知られつつあります。」
医師であるMさまにとって、住まいは健康を守るもの。
それが、今回の断熱リノベーションという選択に繋がった。
「暖かさはもちろんですが、結露がないというのもこれまでの住まいとの大きな違いでしたね。2年経って、天然木の温度、湿度もちょうど馴染んできたな、と実感しています。これからは、物を増やさないなど自分たちの生活の仕方を省みながら、さらに心地よい暮らしを実践していきたいですね。」