事故と言えば、交通事故を思い浮かべる人が多いはず。
でも意外や意外、家の中の方が事故死のリスクが高いのだ。
安全だと思っている家の中のどこにそんな危険があるのか?
今回は、身近で危険な「家庭内事故死」の実態に迫る。
不慮の事故死、現場は家だった!?
厚生労働省の人口動態統計によると、
平成28年に「不慮の事故」で亡くなった人は約38,000人。
そのうち「交通事故」は約5,000人。交通事故死は年々減少している。
それよりも目立つのは、「不慮の窒息」約9,500人や、「転倒・転落」約8,000人、
「不慮の溺死及び溺水」約7,500人のなど、「交通事故」以外の「不慮の事故」の多さである。
では、「交通事故」以外の「不慮の事故」はどこで起こるのか?
統計を見てみると、「家・庭」が約14,000人と最も多いことが分かる。
これは、外で交通事故に遭い亡くなる人の約3倍。
多くの人が一番安全だと思って安心している「家」で亡くなる人は、意外にもかなり多いのだ。
冬、人はお風呂で亡くなる!?
「転倒・転落」などの事故と、バリアフリーの重要性の関係はよく耳にするが、
「溺死」について考えたことはあるだろうか?
家の中で起こる「不慮の事故」で注目したいのが、シニア世代の入浴中の事故。
特に冬は「ヒートショック」により入浴中に亡くなる人が多いので、注意が必要だ。
「ヒートショック」とは、
急な温度変化で血圧が大きく変動することが原因となり起こる健康被害のこと。
冬、寒い廊下を歩き、暖房がついていない脱衣所で服を脱ぐ。
体は冷え切った状態で血管もギュッと縮み、血圧が上昇。
「寒い寒い」と言いながら急に熱い湯船に浸かると、
縮んでいた血管が一気に広がり、血圧は低下。
その急激な変化が心筋梗塞や脳梗塞を引き起こし、湯船で溺れて亡くなるケースが多いのだ。
これは、家の中の温度差が少ない高気密高断熱住宅なら防げる事故。
交通安全教育の普及や車の安全性の向上により交通事故死が減ってきている一方で、
高気密高断熱住宅はまだまだ普及していない日本。
お風呂に限らず、廊下やトイレなどもヒートショックの危険度が高い場所。
家全体があたたかい高気密高断熱住宅に暮らすことは、
「不慮の事故」を防ぐことにもつながるのだ。
冬、「ヒートショック」により入浴中に亡くなる人が多いという事実。
次回はこのことに関連して、
温暖な気候の地域ほど冬に亡くなる人が多くなる傾向について考えていく。