
画像:三省連携公式ホームページより
省エネ性能・断熱性能の高い家づくりを推進するため、国の支援事業が2025年も継続されます。
国土交通省・環境省・経済産業省の3省が連携した「住宅省エネ2025キャンペーン」。
省エネ住宅の新築や既存住宅の省エネリフォームなどの費用を補助する内容で、2024年11月22日に閣議決定されました。
「住宅省エネ2023キャンペーン」から毎年メニューを更新し、継続されてきた支援事業の“2025年バージョン”です。
従来から主な対象とされた子育て世帯に加え、「すべての世帯」まで広げた新たな支援メニューが加わるなど、国が目指す2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、住宅分野の対応をさらに進めようとの姿勢が見られます。
住宅省エネ2025キャンペーンの主なポイントを見ていきましょう。
新築住宅支援に“すべての世帯”が対象の「GX志向型住宅」が登場
新築住宅への支援では、国土交通省と環境省が所管する「子育てグリーン住宅支援事業」の一環として、 “すべての世帯”を対象とする「GX志向型住宅」への補助が新設されました。
■住宅の新築に対する支援事業
対象世帯 | 工事内容 | 対象住宅 | 1戸あたりの補助額 | 所管省庁・公式サイト | |
すべての世帯 | ・注文住宅の新築 ・新築分譲住宅の購入 ・賃貸住宅の新築 | GX志向型住宅 | 160万円 | 国土交通省・環境省 子育てグリーン住宅支援事業【公式】 | |
子育て世帯等(※1) | ・注文住宅の新築 ・新築分譲住宅の購入 ・賃貸住宅の新築(主たる入居世帯を子育て世帯等とするもの) | 長期優良住宅(※2) | 建替前住宅等の除却を行う場合 | 100万円 | |
上記以外の場合 | 80万円 | ||||
ZEH水準住宅(※3) | 建替前住宅等の除却を行う場合 | 60万円 | |||
上記以外の場合 | 40万円 |
いずれの場合も、閣議決定の2024年11月22日以降に、基礎工事より後の工程に着手したものが対象。
※1 国は、18歳未満の子を有する世帯(子育て世帯)、または夫婦のいずれかが39歳以下の世帯(若者夫婦世帯)を指すと定義しています。
※2 長期優良住宅は、「将来にわたり長く住み続けられると国から認められた住宅」のことで、耐震性や省エネルギー性、劣化対策、維持保全計画の策定をはじめ、国が定める「長期優良住宅の認定基準」をクリアしていれば、都道府県や市町村等の所管行政官庁で認定が受けられます。ちなみに、北洲ハウジングでは長期優良住宅が標準仕様となっています(一部の条件を除く)。
※3 ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)は、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロになることを目指した住宅です。
注目ポイント
○新設の「GX志向型住宅」は160万円/戸を補助
すべての世帯が対象となるGX志向型住宅には、1戸あたり160万円が補助されます。
GX志向型住宅は「ZEH水準を大きく上回る住宅」とされ、次の2つの条件に適合している必要があります。
- 断熱等性能等級「6以上」
- 一次エネルギー消費量の削減率
戸建住宅では、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量の削減率35%以上、再エネを含む削減率100%以上が求められます。寒冷地の場合は再エネを含む削減率75%以上とされています。
○家庭用蓄電システムの導入支援との併用が可能に
新築住宅が対象の全支援メニューで、家庭用等蓄電システム(電力需要を制御することで、電力需給バランスを調整する仕組み)の導入支援を併用することができます。家庭用等蓄電システムへの補助率は1/3以内です。
○ZEH水準住宅の補助額は前回より減
子育て世帯等のみが対象の支援は、長期優良住宅とZEH水準住宅に区分されていますが、ZEH水準住宅に対する補助が前回キャンペーンより減額されているので注意が必要です。
前回の補助額:80万円/戸 → 今回60万円/戸(建替前住宅等の除却を行う場合)※上記以外は40万円/戸
住宅の省エネ改修、高断熱窓や省エネ給湯器設置も引き続き支援
■省エネ改修・高断熱窓・省エネ給湯器の導入支援
名称 | 工事内容 | 補助対象 | 補助額 | 所管省庁 | ||
先進的窓リノベ2025事業 | 省エネ改修 | 高断熱窓の設置 | 高性能の断熱窓 | 最大200万円/戸 (補助率1/2相当) | 環境省 先進的窓リノベ2025事業【公式】 | |
給湯省エネ2025事業 | 給湯器 | 高効率給湯器の設置 | 高効率給湯器 (a)ヒートポンプ給湯機、(b)ハイブリッド給湯機、(c)家庭用燃料電池 | (a)6~13万円/台 (b)8~15万円/台 (c)16~20万円/台 | 経済産業省 給湯省エネ2025事業【公式】 | |
賃貸集合給湯省エネ2025事業 | 既存賃貸集合住宅におけるエコジョーズ等取り替え | エコジョーズ/エコフィール | 追焚機能なし:5万円/台または8万円/台 追焚機能あり:7万円/台または10万円/台 | |||
子育てグリーン住宅支援事業 | 省エネ改修 | 開口部・躯体等の省エネ改修工事(☆) | (d)開口部の断熱改修、(e)躯体の断熱改修、(f)エコ住宅設備の設置 | Sタイプ:最大60万円/戸(左記d~fのすべてを実施) Aタイプ:最大40万円/戸(同d~fのいずれか2つを実施) | 国土交通省 対象要件の詳細【リフォーム】|子育てグリーン住宅支援事業【公式】 | |
その他のリフォーム工事 ☆の省エネ改修工事を行った場合に限り併用可能 | 住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等 |
いずれも閣議決定の2024年11月22日以降に、リフォーム工事や対象工事に着手したものが対象。
ここに注意!
国土交通省が所管する「子育てグリーン住宅支援事業」の省エネ改修は、次の3つの改修工事のうち2つ以上を行わないと支援対象になりません。
- 開口部の断熱改修
- 躯体の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
3つの工事をすべて実施すれば最大60万円(Sタイプ)、2つであれば最大40万円(Aタイプ)と補助額に違いがあるので注意してください。
また、子育てやバリアフリーなどに対応するための改修は、省エネ改修工事(SタイプかAタイプ)を行わないと補助対象に含むことはできません。
このほか、熱損失の最も大きい「窓」の断熱性能を向上させる「先進的窓リノベ事業」(補助額:最大200万円)が継続され、家庭のエネルギー消費量の約3割を占めるとされる給湯器を高効率なものに替えるための事業も実施されます。
キャンペーンを活用して省エネで快適・健康な住まいを

省エネ・断熱性能の高い住宅は、脱炭素化という世界的かつ長期的な課題の解決に役立つことはもちろんですが、何より健康で快適な暮らしを実現してくれます。
また、エネルギー価格が上昇する中、家計にも恩恵をもたらします。
今回のキャンペーンでは、支援対象を広げたメニューが登場するなど、より多くの方が省エネ性能の高い住宅を実現できるチャンスが広がったとも言えます。
国の支援事業を上手に活用して、暖かく、健康・快適に過ごせる家づくりを実現したいですね。