前回、住まいの「木質化」が血圧低下に及ぼす効果について触れた。
床や天井、壁などに「木」をあしらうことで、断熱化の効果をさらに補足的にアップさせることができるというものだ。
実は、この「木質化」にはこれ以外にも様々な効果があることがわかってきている。
血圧低下だけではない、木質化のメリット。
「木質化」は血圧の低下を促進するだけではなく、睡眠の質や作業効率のアップなどの
効果もあることが実証されている。
慶応大学の伊香賀教授らによる実験では、
内装の木質化により睡眠の質が向上し、それによって翌日の知的生産性が向上していることがわかった。
◆実験内容/木質化されていない部屋とされている部屋を持つモデル住宅に宿泊し、翌日に模擬作業を実施。
①23時~7時までの間。睡眠計を用いて睡眠状態 (ぐっすり眠れていた時間) を測定。
※体調が悪いサンプル、就寝時間中に著しく温度の低下が見られた8月9日に温熱環境の不満を訴えたサンプルを除外。
木質化が全くされていない部屋で寝たときよりも、木質化された部屋で寝たときの方が、平均で20分も深い眠りの時間が多かった。
②睡眠翌日に模擬作業としてパソコンで文章入力を行い、タイピングの精度を調査。
※1.習熟の影響を補正した値を使用。
※2.正打数(正規化)=50+10×((正打数)-(個人の平均正打数))/ 標準偏差とし、個人差を排除。
木質化された部屋で睡眠をとった後のほうが、作業の精度が向上している。
このように、適度な内装の木質化が果たされると、睡眠の質も上がり、それに連動するように、翌日の知的生産性が向上することがわかってきているのだ。
無垢のウッドフロア、羽目板の天井、無垢材のアクセントウォール。
「木質化」は、風合いや質感、香りを楽しめるという点でもともと人気の内装コーディネートだが、我々の体にも良い影響を与えることがわかってきている。
リフォームやリノベーションを考える際に、断熱性能の向上とともに、「内装の木質化」も検討ポイントに加えてはどうだろうか。